2018年、沖縄県知事選挙のことを考える

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翁長雄志知事の急逝を受けて、沖縄県知事選挙が、今日(2018年9月13日)告示されました。

きっと何人も立候補していることとは思けど、実質は「佐喜真淳(前宜野湾市長)」さんと「玉城デニー(こちらの方はまだ国会議員を辞職していないらしく、まだ現職の自由党幹事長)」さんとの一騎打ちなんだよね。
ちなみに宜野湾市には、移転対象となっている米軍普天間飛行場があります。

2018年は、沖縄県内でなんと50くらいの選挙があるらしいけれども、何といってもこの県知事選挙が1番のメイン選挙。なのでこの選挙結果は、普天間飛行場辺野古移設計画だけでなく、沖縄の将来にも大きな影響を与えることになるでしょうね。


自分は沖縄(というか宮古島)が大好きで、かれこれもう十数回宮古島を訪れています。
もし叶うのであれば、宮古島に移住したいくらい。
だから、沖縄の行く末がとても気になる。

皆さま方の中には、なぜ沖縄と国の関係がこんなにこじれてしまっているのか、よくわかっていない方も意外と多いと思うので、今回は自分が知っていることを、ざっくりとまとめてみますね。


まずは、米軍基地移設問題について、おさらい。

沖縄基地問題が大きくクローズアップされ始めたきっかけは、1995年の沖縄米軍少女暴行事件。詳しく知りたい方はググってね。ここでは詳しく書きません。
ただ、これ以前にもきっと多くの事件が発生したはずだけれども、この事件の反響はとんでもなく大きかった記憶があります。日米地位協定についてもかなり議論されたよね。

続いて1996年に、普天間の返還について、日米合意されました。ちなみに当時の総理大臣は、橋本龍太郎さんだったと記憶してます。
同じく1996年には、名護市が辺野古に米軍飛行場を受け入れることに合意しました。
ただその合意の条件として、いろいろ地域の要望を聞くと閣議決定が下されたにもかかわらず、日本政府としても米国の言うことに従わなければならないために、2006年にはその閣議決定が廃止されてしまいました。
当然沖縄県としては「約束が違う!」と怒ります。

その年の沖縄知事選挙では、基地建設容認派の仲井眞さんが当選しました。仲井眞知事は、何とか政府と対話しながら着地点を見つけようと努力してくれていました。
ところが、2009年の民主党政権で、鳩山由紀夫首相が何も考えずに「最低でも県外」なんて発言してしまいます。沖縄の人たちは、半信半疑ながらも喜びます。
でもすぐに「やっぱり辺野古しかあり得ません」と、あっさり撤回してしまいます。
沖縄県民は、期待した分の落胆が大きく怒り心頭です。そりゃそうですよね。
相前後して2010年の沖縄県知事選挙では、仲井眞知事が「県外移設」を公約にして再選されます。

そして、いろいろな調整の末に、苦渋の決断だったとは思いますが、2013年に沖縄県として辺野古埋め立てを承認します。
仲井眞さんはよく頑張って決断したたと、個人的には評価してます。もちろん彼のことを悪く言う人もたくさんいますけどね。
そして反対運動の中、辺野古埋め立てに向けた動きが始まりました。

しかし、2014年の知事選挙で、仲井眞知事は基地反対派の翁長雄志氏に大敗してしまいます。
そこからは、沖縄と国の関係はこじれたままで、現在に至ります。
因みに翁長氏が亡くなった後、沖縄県は一旦承認した辺野古埋め立てを撤回しています。


これまでのあらすじはざっとこんな感じです。
そして、これに複雑に絡み合う形で、様々な要因・様々な立場の人や団体や政党や会社がそれぞれの立場を主張し対立し合っている。

例えば、沖縄に多くの米軍基地が存在することに対する、沖縄の不平等感。
日本国土に沖縄県が占める面積割合はわずか0.6%であるのに対し、日本の約74%の在日米軍基地が集中しているとのこと。(ただし、自衛隊との共用基地として考えると、面積比はぐっと下がって約23%となるらしい。それでも多いけどね。)

それから、国にさんざん振り回されて嫌気が差した感。
沖縄は太平洋戦争で地上戦を経験し、悲惨なそして多大な被害を受けた。また戦後も米軍が駐留し続け、勝手に土地を使われ、しかも日本から切り離された。そして返還後も、国や日米関係にさんざん振り回された。もう嫌だ。沖縄のことは沖縄で決めたい、という気持ち。
まあ、地方自治に関することは沖縄が決めればいいと思う。ただ、国防など国が決めることに関してまでは地方自治体である沖縄県が出る幕はないかな、と個人的には思う。例の翁長知事が国連に出かけて演説したりすることはダメなんじゃないかな。

 

それ以外にも、いろいろな対立要因がある。

辺野古移設によって普天間の市街地が安全になるため賛成、という人もいれば、辺野古の埋め立てによってジュゴンやサンゴなど自然環境が破壊されててしまうので、そういうことを重視して反対する人もいる。

また、そもそも戦争に反対(子どもを戦争に行かせたくないから)とか
憲法改正に反対(9条を守れ!)とか
日米安保に反対(戦争に巻き込まれるから米軍は出て行け!)とか
国(政府)のやることに、とにかく反対とか
自民党の施策そのものに反対とか
とにかく安倍首相のやることなすこと全てに反対、アベガーッ!とか
…言い始めるとキリがない。


あれ?
自分では公平中立に書こうと思っているのですが、何となく右側に寄っているように見られてしまうかも…

 

とにかくこれらのことを、右派・中立・左派が入り乱れて…
賛成したり反対したり、disりあったりののしり合ったり。

 


昨日、立候補者の一方の人(普天間廃止の方)が「対立や分断だけでは何も生み出されない。(政府との)対話が必要。」と話しているのをツイッターで見かけました。
「おぉ、いいこと言うなぁ。」と、ちょっと感心しました。
もう一方の人は、「基地をつくるから、対立する姿勢で臨むから、対話ができないんだ。」なんて、お花畑的な理論でお話しされていたので、私は「?」という感想を持ちました。

これから投票までは選挙戦なので、「話し合って理解してもらう」のではなく、「自分の意見を主張して、多くの人に賛同してもらう」ということになりますが、有権者の方々はぜひとも冷静に判断していただきたいと思います。

例えばこんな風に…
①まず、日米安保条約を堅持するのか破棄を検討するのか
→ これについて、大抵の方は「日米安保条約維持」を選択するでしょ。だって今日米安保を破棄したら、沖縄を狙っている国のまさしく思う壺ですよきっと。彼らの、ウィグル地区(旧東トルキスタン共和国)やチベットでの迫害行為の状況を見れば、沖縄の人たちが進んであの国の進出を許すとは思えないな。

で、次
日米安保を堅持する場合、普天間基地を今のままにするのか、それともそれ以外の解決方法を探るのか。
→ これも、普通に考えれば「普天間から移転」を選択するのではないかな。だって「世界一危険な飛行場」って言われてたでしょ、辺野古って。自然環境を守れって言う人たちもいるけど、その人たちは那覇空港の埋め立てには何も反対しないんだよね。不思議。ただ、軍用船が横付けにできるようになったり、滑走路が2本に増えたりといろいろ調整しなければならないことはあるでしょうけどね。

そして、その次
辺野古への移設するのか、それともそれ以外の候補地で考えるのか。
→ これも、決まりだよね。1996年に合意されて以来、民主党政権でも、そして現在に至るまで、辺野古以外の候補地は見つかっていないもんね。

と、このように順を追って話をすると、解決に向かうような気がするのだけれども…
まぁでもこれは私の考え方であって、人それぞれ立場も考え方も異なるからね。

 

現在は選挙期間に入っているので詳しくは書きませんが、どうやら…
佐喜真淳サイドは普天間基地の廃止・返還は主張するものの、辺野古への移転は明言しない。
玉城デニーサイドは、これ以上基地を作らせないとして辺野古への建設阻止は主張するものの、普天間廃止については明言しない。
という方針で臨むらしい。


とにかく選挙権のない私は、静かに選挙戦を見守る異にします。
あまり変な結果にならないことを祈っています。

北海道の電力不足を憂う

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2018年9月6日未明に発生した「北海道胆振東部地震」によって引き起こされた全道の停電、いわゆる「ブラックアウト」。

 

地震発生から5日が過ぎた11日現在、関係者の努力や工夫のおかげで、ほとんどのエリアで停電は解消されているものの、苫東厚真火力発電所がダウンしていることもあって、電力の需給バランスはギリギリの状態が続いている。

 

2018年9月8日の北電からのプレスリリースによると、「現在あらゆる手段を駆使することによって、何とか350万kwの電力確保ができている。しかしながら、9月のピーク時には約383万kwのピーク電力が想定されており、現実的には電力が足らない。したがって道民の皆さんには差分の約20%程度の節電をお願いしたい。」とのことだ。
また、再度のブラックアウトを避けるため、想定より節電が達成されない場合には、計画停電も想定しておかなければならないという話も聞く。

 

北電からのプレスリリースに添付された資料を見ても、他者(本州)から60万kw電力を融通してもらい、火力や水力などあらゆる発電施設をフル稼働して、何とか350万kwを捻り出している状態。かなりヤバイ。まさにギリギリの綱渡り状態。老朽化している発電施設の一つでも故障すれば、即再びブラックアウトとなりかねない。

 

泊原発が休止中の現在、まずは今回の地震で損傷した苫東厚真火力発電所の一刻も早い回復が望まれる。しかし実態はあまり楽観できる状況ではないようだ。
本日夕方のニュースによると、苫東厚真1号機(35万kw)の復旧は9月末以降、2号機(60万kw)は10月中旬以降、そして4号機(70万kw)に至っては11月以降になってしまう見込みであるとのこと。4号機に至っては、タービンからの出火によってまだ点検にさえも着手できない状態であるようだ。

 

そんな中で、北海道は既に冬に向かい始めている。地震被害の大きかった厚真町の今朝の最低気温は5.4度。そして稚内では何とマイナス0.9度にまで下がってしまっている!

…ええっ?もう暖房がないと過ごせない気温じゃないか!

 

実は、本州と違って北海道は冬季の方が電力需要が多いらしい。北電のウェブページにある電力需給見通しには、「冬季の電力需要は夏季の30%増し」という資料があった。暖房等のために家庭電力が60%増加するだけでなく、融雪用などでも電力を必要とするためらしい。

ということは、苫東厚真の発電が回復しないうちに、9月中旬から下旬、そして10月と日が経つにつれてどんどん気温が下がり、暖房のための電力が必要となり、北海道内の電力需要が増加すると、使用電力抑制のために計画停電の実施が不可避となったり、再び電力需給のバランスが崩れててしまい、再び悪夢のブラックアウトが発生してしまうことが懸念される。

 

道内に建設中の発電施設があるかどうかを調べてみると…。
まず、北海道電力としては、狩火力発電所を建設中。まずは1号機(56.94万kw)が、2019年2月操業を目指して建設中です。

…今年の冬には絶対間に合わないよね。


他には、北海道ガスも同じく石狩港で発電施設を建設中です。
石狩LNG火力発電所(7.8万kW)。この発電所は 2018年10月操業予定なので、施設としてはもう完成している。後は今回の震災を受けてなるべく早い時期の操業開始を目指ているとのこと。

 

ただ、さっきも書いたように北海道はこれから日に日に寒くなっていくのに、これだけの発電施設追加でで果たして冬季に必要な電力を確保できるのか…?

 

 まずは、北海道と日本全体で知恵を絞って、現時点で採用可能な案は何でも取り入れ、供給電力量を少しでも増やすことが必要だよね。

 

具体的に想定できるアイディアはというと…
1.北海道ガスの石狩LNG発電施設の、一日も早い操業開始を目指す。
2.現在60万kwを融通してもらっている、本州からの電力融通量を増やす。
3. 既存発電施設を、フル稼働させる。

 

まず、1の北ガス石狩LNG発電施設。
既にテスト稼働もしているようだし、これについては実現可能でしょう。ただし、いかんせん発電量が少ない。
7.8万kwではまだまだ足りないよね。

 

次に、2.本州からの電力融通。これについて、恥ずかしながら自分にはこのアイディアの実現性を語ることができるような知見を持っていない。ただし、この案が有効であるのであれば、もうすでに融通量を増やしているはず。だからきっとこのアイディアの実現は難しいんだよね。

 

そして、3.既存施設のフル活用は、もう既に実施している。これ以上の発電はムリ。ていうか水力発電なんかもカウントされてるけど、氷点下20度になる冬の北海道で、水力発電って可能なの?


ということで、ありとあらゆる可能性を検討した上で…
それでも足りないならば…

泊原子力発電所の再稼働についても、検討すべきではないだろうか!


3.11以降、多くの国民が原発に対して「漠然とした恐怖や不安」を抱いている。
よくわからないがゆえに、原子力の利用について、アレルギー反応を示す人たちがいることも、承知している。
そして、泊原子力発電所の再稼働については、原子力規制委員会による基準がクリアできていないことも、事実。


…ただ今回は、少なくとも今年の冬だけは、イデオロギーではなく冷静な「リスクの比較」で判断すべきではないだろうか。


リスク評価として、どちらを選択するかを例示してみる。
case①:泊原発を再稼働させないことによって、電力供給量が少ないままとなり。電力ピーク時に老朽化した発電施設が故障するなどして電力の需給バランスが崩れ、再びブラックアウトが発生する。その結果、多くの犠牲者が出てしまうという確率
case②:泊原発を再稼働させて電力供給量を増加させることによって、ブラックアウト発生を回避する。しかし、泊原発周辺で直下型地震が発生する。泊原発は緊急停止するものの施設の損傷が大きいため、最終的には放射能事故の発生にまでつながってしまい、多くの犠牲者が出てしまうという確率


caseの①と②で、確率的にどれくらいの差が出るかを数値として表すことができないので、やや説得力に欠けるもの、case①よりもcase②が発生する確率は、それこそ「桁違いに低い」であろうことは、誰から見ても明らかなはず。

 

2018から2019年にかけての時期に、この綱渡り状態のままで乗り切ろうとしても、電力の需給バランスが崩れて大規模停電が発生してしまう確率は、低くはない(無視できない程度に高い)だろう。

 

一方で、泊源発周辺で発生する地震は、直下型の断層地震東日本大震災のようなプレート型地震ではなく、何万年・何十万年に1度の確率でしか発生しない。
ということは、今年の冬に泊原発周辺で直下型地震が発生する確率は、限りなく低いのではないだろうか。もちろん最悪の事態を想定すると、被害額が莫大なために無視はできないけど…。

 

もちろん、どちらのケースとも実際に起こる可能性は「ゼロ」ではない。
泊原発を再稼働させない場合、今年の冬のピーク需要時に大停電が発生してしまう可能性は、ある。
同じように、泊原発を再稼働したタイミングで積丹半島付近に直下型の断層地震が発生して、泊原発が大きく損傷し、原子炉がメルトダウンしてしまうことも、もちろん可能性としてはある。
ただ、その2つのケースが発生する確率の差は、何百倍・何千倍・何万倍の開きがあるのだろうか。

 

そして、真冬の北海道でブラックアウトが発生してしまった場合、一体どれくらいの人的被害が発生するのだろうか。自分には想像できない。
大停電が発生してしまった場合、北海道の人たちはどうやって命をつないでいけるのだろう。


刻一刻と時は過ぎ、一日一日寒くなってくる。
電力需要が増えていく。


今から動きだしても、もう手遅れなのかもしれないが、大停電発生のリスクを回避するため、すぐにでも泊原発の再稼働について具体的な検討を始めるべきではないだろうか。